新型栄養失調のチェックリスト——症状で判定せず、食習慣を振り返る12項目

公開: 2026/8/7 / 文責: 安河内 佑介(ゼロジム369株式会社 代表取締役)

「新型栄養失調 チェックリスト」で検索すると、疲れやすい・風邪をひきやすい・肌が荒れる、といった症状を並べ、当てはまった数で判定する形式のものがよく見つかります。

本記事では、その形式を採りません。理由は一つで、「新型栄養失調」は医学的な診断名ではないからです。診断名でないものに「何個以上ならこう」という線を引くことは、本来できません。

そこで本記事では、症状ではなく、ご自身で事実として確認できる食習慣そのものを振り返る12項目を用意しました。合計点は出しません。代わりに、当てはまった項目ごとに「次の一食で足せること」を一つずつ添えています。

この記事でわかること(先に3行)

  1. 合計点で判定するチェックリストは作れません。 診断名ではないので、点数の根拠になる公的な線が存在しないからです。
  2. 代わりに見るのは、症状ではなく食習慣です。 昨日と今日、何が食卓に乗っていたか。これは自分で確かめられます。
  3. チェックがついた数は問題ではありません。 一つひとつが「次の一食で足せる場所」を指しているだけです。

言葉そのものの定義や公的データの背景は、当メディアの「新型栄養失調」定義ハブで扱っています。本記事はその実践編にあたります。

なぜ症状ではなく食習慣で振り返るのか

理由は3つあります。

1つめ。判定できないからです。 「新型栄養失調」は、報道や啓発の場を通じて広まった通称です。公的な統計や基準で用いられる正式な区分名ではありません。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」も、エネルギーと各栄養素の摂取量の基準値を定めるものであって、この状態を定義したり分類したりするものではありません。定義がない以上、該当・非該当を分ける点数も存在しません。

2つめ。症状は栄養だけでは切り分けられないからです。 疲れやすさや肌の調子といった体調の変化には、睡眠・ストレス・運動・疾患など、栄養以外の原因が数多くあります。それらをチェックリストで切り分けることはできませんし、体調から特定の状態を判定することは医学的な診断にあたります。一般向けの記事やアプリが行えるものではありません。

3つめ。食習慣なら、自分で事実として確認できるからです。 「昨日の昼に主菜が入っていたか」は、思い出せば分かります。判定を必要としない、事実の確認です。そして食習慣は、次の一食から変えられます。

つまり、こういうことです—— 体温計は「37度」という数字を出しますが、「新型栄養失調」には体温計にあたるものがありません。名前はありますが、病院でつく診断名ではないからです。 ですので、症状を数えて点数をつけるやり方は、根拠のあるふりをしているだけになってしまいます。 代わりに見るのは、昨日の食卓に何が乗っていたかです。これなら思い出せますし、確かめられます。

チェックリスト——直近1週間の食習慣

直近1週間を思い出しながら、当てはまるものにチェックを入れてください。数は数えません。

A. 主菜(たんぱく質源)について

B. 副菜・彩りについて

C. 食事のリズム・置き換えについて

D. 把握について

つまり、こういうことです—— 12項目ぜんぶ、「体調がどうか」ではなく「何を食べたか」を聞いています。 「疲れているか」は人によって基準がバラバラですが、「朝に卵が乗っていたか」は誰が見ても同じ答えになります。だからこの形にしています。

チェックの読み方——合計しないでください

チェックリストを使うときに、いちばん大事なのはここです。

数を合計しないでください。 前述のとおり、「何個以上ならこう」という線を定めた公的な基準は存在しません。合計点を出した瞬間に、根拠のない判定になります。

チェックが多いことが、そのまま悪いわけでもありません。 意図してその食べ方を選んでいる場合があるからです。たとえば糖質を抑える食べ方をしている方は、項目3に当てはまりますが、それはご本人の選択であって不足を意味しません。実際、当社が公開した食事記録1,262人日分の集計でも、利用者の食べ方は糖質を抑える群と一般的なバランスの群に大きく分かれており、片方の物差しをもう片方に当てること自体が不当でした。

では何のためのチェックかというと、次の一食で足せる場所を一つ見つけるためです。下の対応表をご覧ください。

チェックがついた項目次の一食で足せること
1(朝に主菜がない)ゆで卵1個、納豆1パック、豆乳1本のどれかを朝の定位置にする
2(昼が単品で完結)丼・麺に、ゆで卵・冷奴・サラダチキンのいずれかを1品足す
3(主食から決める)献立を決める順番を逆にする。「今日は何のおかずか」を先に決める
4(量の見当がつかない)1日だけ、食べたものを記録して眺めてみる
5(野菜が乗らない日)冷凍野菜・カット野菜・味噌汁の具など、調理の要らない形で1品用意する
6(茶色と白の2色)色のあるものを1つ乗せる。トマト、にんじん、ブロッコリー、海藻など
7(野菜の種類が固定)いつものサラダに、きのこか海藻を1種類だけ加える
8(欠食がある)抜くのではなく減らす。ヨーグルト1個、バナナ1本でも食卓を成立させる
9(菓子パン等で代替)置き換える日は、たんぱく質源を1つだけ添える
10(間食が習慣)間食そのものより、直前の食事に主菜が入っていたかを見る
11(減らしたのが主菜・副菜)減らす対象を主食側に寄せ、主菜は残す
12(思い出せない)記録する。記憶に頼らないだけで、見えるものが変わる

いずれも「やめる」ではなく「足す」側の一手です。引き算より足し算のほうが、無理なく続きます。

つまり、こういうことです—— このチェックリストは、通信簿ではなく買い物メモだと思ってください。 点数をつけるためのものではありません。 ついたチェックは「ここに一つ足せますよ」という印です。 12個ぜんぶについても、それは「悪い」ということではありません。 足せる場所が12個見つかった、というだけのことです。 (体調に不安がある場合は、医師・管理栄養士等の専門家にご相談ください。)

公的な目安は「線」ではなく「目盛り」

項目4で「たんぱく質を何グラム摂っているか」を挙げました。では、その目安はどこにあるのでしょうか。

健康増進法にもとづく厚生労働省告示「食事による栄養摂取量の基準」——一般に「日本人の食事摂取基準」と呼ばれるもの——に定められています。現行の基準は2025年版で、令和6年11月22日厚生労働省告示第339号による改正により令和7年4月1日から適用されています。たんぱく質については次のとおりです。

年齢推奨量 男性(g/日)推奨量 女性(g/日)目標量(%エネルギー)
18〜29歳655013〜20
30〜49歳655013〜20
50〜64歳655014〜20
65〜74歳605015〜20
75歳以上605015〜20

ここで注意していただきたいことがあります。この数値は、個人の合否を判定する線ではありません。

食事摂取基準の目標量は、集団に対して生活習慣病の発症予防を目的に設定された参照値です。個人の摂取量がこの範囲の外にあることが、ただちに不適切であることを意味するものではありません。基準そのものがそう位置づけています。

つまり、この表は「自分がどのあたりにいるか」を眺めるための目盛りであって、合格・不合格を分ける線ではありません。項目4も、基準を満たしているかを問うているのではなく、桁が分かっているかどうかを聞いています。

なお表を見ると、年齢が上がると推奨量(g/日)はむしろ下がる(男性65g→60g)のに、目標量(%エネルギー)の下限は逆に上がっていきます(13%→14%→15%)。矛盾ではありません。加齢とともに食事の総量そのものが減りやすいため、グラム数として同程度を確保しようとすれば、食事全体に占める割合を高める必要がある——という関係を表しています。

つまり、こういうことです—— この表は合格ラインの表ではありません。物差しについている目盛りです。 目盛りを見る目的は、点数をつけることではなく、自分がどのあたりにいるかの見当をつけることです。 (一人ひとりの必要量は年齢・体格・活動量・体調によって変わります。)

実際の食事記録では、何が共通していたか

当社は、VITL利用者の食事記録を匿名で集計した結果を公開しています。食事記録1,262人日分の集計では、食べ方が糖質を抑える群と一般的なバランスの群に二極化していた一方で、両群に共通していた論点はたんぱく質でした。

食べ方の思想が正反対の2つの群で、同じ栄養素が共通の論点として残った——このことは、本記事のチェックリストでAグループ(主菜)を先頭に置いた理由でもあります。どの食べ方を選んでいる方にとっても、まず見る価値があるのがここだからです。

また、20歳以上の野菜摂取量の平均値は256.0gでした(厚生労働省 令和5年「国民健康・栄養調査」)。同調査では、男性では直近10年間で有意に減少していることも報告されています。Bグループ(副菜・彩り)を置いているのはこのためです。

つまり、こういうことです—— 食べ方の考え方が正反対の2グループを比べたのに、たんぱく質だけは両方で同じ話になりました。 だからこのチェックリストは、おかずの話から始めています(いずれも集計値であり、個人の状態を示すものではありません。)

振り返りを続けるために——AI食事管理サービス VITL(バイタル)

このチェックリストの弱点を正直に書いておきます。記憶に頼っていることです。項目12がまさにそれで、1週間前の昼食を正確に思い出せる人はそう多くありません。

“専属AIトレーナーを雇う”という発想のAI食事管理サービス「VITL(バイタル)」は、この部分を引き受けるために作られています。記録するだけの一般的な食事管理アプリとは設計が異なり、食事の写真やテキストから記録を作成して栄養バランスを見える化し、次の食事で何を足すかまで提案します。本記事の対応表が毎食ぶん自動で出てくる、と考えていただくと近いかもしれません。

ただし、写真だけで決まらないこともあります。当社が公開したAIの解析を利用者がどう訂正したかの集計では、訂正の62%は分量や調理法など、写真に写らない情報に関するものでした。そのためVITLでは、写真に「ごはんは少なめです」のような一言を添えられる設計にしています。

VITL(バイタル)は、ゼロジム369株式会社(福岡)が開発・運営する日本のサービスです。詳しくはVITL公式サイト、およびメディアの「VITL(バイタル)とは」をご覧ください。

なお「VITL」という名称のサービス・事業者は世界に複数存在します。本サービスVITL(バイタル・vitl.jp・運営: ゼロジム369株式会社)は、同名の英国のサプリメント通販ブランドVitl、および金融庁が警告書を発出した無登録業者の一覧に掲載されている「VITL Financial Trading Limited」とは、資本・運営とも一切関係ありません。「VITL」はゼロジム369株式会社の登録商標です(商標登録第7053784号)。

出典


※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。特定の疾病の予防・改善を保証するものでもありません。体調に不安がある場合は、医師・管理栄養士等の専門家にご相談ください。

本記事は、AI食事管理アプリ「VITL(バイタル)」を運営するゼロジム369株式会社(VITLメディア編集部)が編集しています。